社内WEBデザイナーになってわかったインハウスデザイナーのメリットデメリット

私は過去、WEB制作会社でWEBデザイナーとして働いていましたが、県外に引っ越すことになったため転職しました。

現在は制作会社ではなく、中小企業の社内WEBデザイナー(以下、インハウスデザイナー)として、WEBサイトの制作や更新作業を担当しています。

インハウスデザイナーになってから3年以上経ったので、なってわかったインハウスデザイナーのメリット・デメリットをまとめました。

インハウスデザイナーに興味を持っている方の参考になれば嬉しいです。

目次

メリット1 残業が少ない

真っ先に挙げたいメリット、それは「残業が少ない」ことです。

インハウスデザイナーになってから、私は30分以上残業したことはありません。
ほぼ終業後10分以内に退社してます。

なぜなら、会社が「残業を少なくしよう!」という目標を掲げているので、私が所属している広報・企画の部署も残業を推奨していないからです。

印刷会社やWEB制作会社にいた時は、残業は当たり前でした。
特に印刷会社時代は、日付を越すことはしょっちゅうありましたし、だんだん自分の感覚がマヒしてきて、終業時間になるのに「まだ6時間以上作業時間があるな!よし、納期に間に合う!」と考えていました。

一人暮らしだったので、度重なる残業で私生活もボロボロ。
平日に仕事以外のことは何もできませんでしたし、休日もほとんど体力気力の回復に費やす感じでした。

それを思い出すと、社内デザイナーの働き方は体力的にも精神的にもゆとりがあると感じています。

もちろん残業時間は会社によりますが、制作会社のデザイナーからインハウスデザイナーに転身した人の多くが、残業時間が減ったと感じていると思います。

メリット2 納期に追われず、スケジュール管理しやすい

WEB制作会社で働いていた時は、毎日が納期との戦いでした。

案件(仕事)が隊列を組んで襲いかかってくるので、倒しても倒しても、倒れ伏した敵の向こうに新たな敵が現れる…。

ようやく片付けたぞヒャッホー!と思ったら、営業さんに「おっ、○○さん暇?暇そうだね!良かった良かった、新しい案件が来てさ~」と声をかけられる始末。敵は社内にあり…。

一方、インハウスデザイナーが関わるのは自社のホームページのみで、無茶なスケジュールで制作を依頼してくるお客様もいないので、ある程度自分の裁量で締め日を調整できます。

とはいえ新商品の発売や採用サイトオープンなど、この日に絶対公開して!という指示は来るので、そんなときは優先度の低い他作業の締め日を後ろにずらしたりして、残業にならないようにしています。

(しかし締切を緩くし過ぎると、作業スピードがどんどん遅くなり、いつまでも同じページに取り掛かっている…となりかねないので、無理し過ぎない範囲で締め日を決めて動いています。)

メリット3 新しい技術に挑戦できる

WEB制作会社で働いていたとき、「HTMLとCSS以外の言語(例えばjavascriptやphpなど)を学んだらもっと仕事の幅が広がるだろう」と思っていましたが、仕事中にも私生活にもそんな余裕がありませんでした。

また、売上の大半を占める大口クライアントの環境が、壊れるまで古いWindowsを使っている状況だったため、流行りの技術を取り入れられず古い書き方のコーディングばかりしていたり…。

けれど仕事も私生活もゆとりを持って作業できるインハウスデザイナーなら、例えば残業なしで帰宅した後、スキルアップのための勉強や副業をすることができます。

そして身に付けたスキルはすぐ会社のサイトに反映することができ、IE11より以前のIEには対応しない、など自分の裁量で決めてしまえます。

さらに、インハウスデザイナーは「何でも屋」扱いされやすいため、WEBサイト制作以外の仕事もできます。(これを利点と取るか欠点と取るかは人それぞれですが)

私の場合、ソフトウェア会社に勤めているため、開発部署の人達と一緒にアプリの制作も行っています。
そこから刺激を受けて、今度は自分一人でアプリを作ってみよう!と新たな目標を持つこともできました。

メリット4 制作したサイトをずっと見守れる

制作会社やフリーランスで働いていると、更新作業やリニューアルの依頼が無い限り、制作したサイトは公開や納品をしておしまいです。
その後、サイトのアクセス数やコンバーション率がどうなっているのか、デザイナーが知ることは殆ど無いと思います。

インハウスデザイナーの場合、自社の売上アップのために常に効果の高いページを公開する必要があるので、アナリティクスでサイトを解析したり、ABテストで効果を検証したりして、サイトメンテナンスを繰り返していきます。

私の職場では、サイト解析や広告管理などは別の担当者が行っているのですが、常にタッグを組んで動いているようなものなので、自分の作ったどのサイトが反応が良くて、どのサイトがいまいちなのか知ることができます。

メンテナンスした後にコンバーション率がアップすると嬉しいですし、やる気も上昇します。

より良いサイトを作るために試行錯誤できるのも、インハウスデザイナーの大きなメリットだと思います。

デメリット1 制作会社のようにすぐ成長できない

ネット上では、「インハウスデザイナーは成長できない」とか「レベルが低い」という意見もあります。

確かに、問答無用で大量の案件が来る制作会社だと、デザイナーの成長速度はかなり早いです。
未経験でも遅くとも1年以内に一人で案件を担当しますし、ディレクターやクライアントから容赦ない修正指示や評価をいただきます。

一方インハウスデザイナーだと、サイトを制作するデザイナーが自分一人、という状況が多く、切磋琢磨するデザイナー仲間やデザインの良し悪しを指摘してくれる人が殆どいないため、「このデザインで大丈夫だろうか」などと不安を抱くことがあります。

成長スピードを落とさないために、ゆとりある時間を有効利用して、自分からスキルアップのための行動を取ることが必要です。

デメリット2 ジャンルが限られる

インハウスデザイナーは自社に関連するサイトしか作れないため、当然関われるジャンルは狭くなります。

例えば10~20代向けの服を販売している会社だと、客層やブランドイメージから外れるサイトは当然作れません。
幅広く商品を取り扱っていても、上司や経営陣好みのデザインしかOKが出ない場合もあります。

とはいえ制作会社勤めの場合でもジャンルが限られるのはよくあることであり、私が以前勤めていた会社もマンションのサイトばかり作っていました。

同じジャンルのサイトばかり作って嫌気が差しそうな人は、自分が好きにいじれるサイトや副業を持っておくといいかもしれません。

デメリット3 仕事内容を理解してもらえない

WEB制作会社だと、デザイナーやディレクター、営業など、会社の殆どの人間がデザイナーの仕事がどんなものかわかっています。

ですがインハウスの場合、デザイナーの仕事を理解してくれている人は同じ部署の人くらいです。

デザインやコーディングはすぐできるものと思われたり、専門外の部署の人達から「ここはこうした方がいいと思う」と言われて収拾がつかなくなったり、「ネットばかり見てて、あの人いつも何の仕事してるの?」と思われたり…。

皆を唸らせるホームページを作れる力量があれば、上記の問題はないかもしれません。
私はまだそこまでの力量がないので、周囲の認識は割り切って捉え、上手く誘導しながら図太く仕事をするようにしています。

デメリット4 WEBデザイン以外の仕事も頼まれる

メリット3でも少し触れましたが、インハウスデザイナーは社内の「何でも屋」になりやすいです。

私の場合はグラフィックデザイナーの同僚が一人いるため、紙媒体のデザインには関わりませんが、知り合いのインハウスデザイナーは紙もWEBも一人で担当しています。

また、自分の所属する部署の仕事の手伝いや、雑用をすることもあります。

インハウスデザイナーへの転職を考えているけど、デザイン以外の仕事はできるだけしたくない!と思っている方は、採用面接の際に所属部署の構成や仕事内容をしっかり聞くことをオススメします。

給料に違いはあるの?

正直なところ、給料は会社によるとしか言えません。

私の場合、印刷会社もWEB制作会社も現在のソフトウェア会社(インハウスデザイナー)も、すべて中小企業のため、お給料は高くありません。
そもそも中小企業に転職すると、多くが募集要項の最低額からスタートするので、転職で給与が上がることは期待していませんでした。
実際、給料はほぼ横ばいで変わらず。

残業代も、前者2社は裁量労働制でこき使われたのでいくら働いてもサービス残業。
インハウスデザイナーとして働いてる今の会社も、見込残業が含まれた給料をもらっているので、一定時間残業しないと残業代が発生しません。

そのため今の私の正直な心境は、「給料はもっと欲しいけど、下がってはないしサービス残業がなくて体がラクだから良し!」です。

結局インハウスデザイナーはオススメなの?

将来デザイナーとして独立したいなら、短期間でたくさんの案件に関わることができ、自分に欠けているところを遠慮なく指摘されてしごかれる制作会社での経験は必須だと感じています。

ただ、それで身体や心を壊したり、毎日しんどいなと感じてる人には、インハウスデザイナーやその他の新しい職場を勧めたいです。

なんといっても体が資本です。心身の健康を損ねても、会社は責任を取ってくれません。自分が安心して継続できる環境が一番です。

何が何でもデザイナーとして大成したいのか、仕事と私生活のバランスが良い生活がいいのか。

迷われている方は多いと思いますが、上記のメリット・デメリットを参考に、自分に合った環境を選ばれてくださいね。
これからもデザイナーとして頑張っていきましょう!

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